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3木を詳しく知る【湿度編】

住環境と湿度

人間の快適さに影響する気候要素は温度、風速、湿度です。温度や風速をいくら調節しても、湿度が高いと快適とは感じられません。

快適な住環境を得るためには、住宅に基本的な湿度調節機能が備わっていることが必要です。

木の湿度調節機能

木材は調湿機能優れた材料ですが、住宅の内装に用いた場合に、その効果はどのように現れるのでしょうか。

平屋建ての小住宅の内装に木とビニールを用いて、それぞれの湿度変化を観測して見ました。

ビニール内装の中では、1日周期で著しい湿度変化を示しましたが、木の内装の中では、50%前後に保って一定にしていました。

木が湿気を吸湿、放湿し、室内の湿度調節を行うことが明らかです。

湿度に対する木材の性質

木材は湿度が高くなると湿気を吸収し、湿度が低くなると放湿してそれを高め、周りの湿度が一定になるように自動的に調節しています。

このような木材の調湿機能は、奈良の正倉院の宝物が非常に良好な状態で、長年保存されてきたことからも、一般的に良く知られています。

正倉院の宝物は、からびつという厚さ2cmの杉材の箱に収納されているので、傷まないのです。

杉材でからびつと同様の箱を作り観測した所、外は50%~80%まで変化しても、箱内は65%前後に保たれていました。

細胞構造と収縮・膨張

木材は長さ3mm、太さ約30ミクロンの小さな細胞の集合体で、複雑ないくつものそうで構成されています。

その大部分が2次壁中層と呼ばれる層で、全体の約8割を占めています。

この層の骨格を作っているのが細い棒状のセルロースの結晶、ミクロフィブリルです。

このミクロフィブリルの間をマトリックス(リグニン、ヘミセルロース)が充填しています。

木材がビニール、ガラス、コンクリートなどよりはるかに多くの水を保有できるのは、木材の構成部分の70%が親水性で、1g当たり最大約0.3gの水を保有できるからです。

水はミクロフィブリルの表面やマトリックスに保有され、この時にミクロフィブリルの間隔が広げられます。逆に放湿するとその感覚が縮見ます。

このような細胞の膨張・収縮が、木材の寸法変化となります。

しかし、ミクロフィブリル内の結晶には、水分子が入りこめないためミクロフィブリルは膨張・収縮しません。

それで、ミクロフィブリルの方向、すなわち繊維方向には寸法変化が生じにくいのです。

健康・衛生と湿度

湿度は人間の生理、病気とも深い関わりが有ります。細菌類、カビ類、ダニ類の微生物は、適当な湿度、温度の時に、室内のほこりを栄養源にして繁殖します。したがって、室内の衛生は、ホコリの除去と共に、微生物にとって好適な湿度、温度環境を作らない事が重要になります。

細菌類はホコリと共にカーペットなどの内部に潜りこみ、人や物が動くと空中に舞い上がり浮遊菌となります。

住宅26軒の分析結果では、ホコリ1g当たり一般細菌数6万4000、環境衛生の指標である大腸菌4800、黄色ブドウ球菌2700,セレウス菌2800緑濃菌120が発見されています。これらの浮遊菌は高湿度、低湿度では長い時間生存し続けますが、湿度50%の状態では大半が死滅します。

カビ類も人体に悪影響を及ぼします。カビの胞子は肺の奥まで入り込み、ぜんそくや肺疾患症などの原因になります。

ちなみにカビは土に多く、人の靴について家の中に1gの土に2万個のカビの胞子が付いて入るので、玄関に入る前に靴の汚れを落としてから入ると良いでしょう。

増殖条件はダニ類と同じで、一般に温度、湿度が高く、ホコリの多い所で増殖します。

ホコリを除去し、湿度が80%以上にならないような配慮が有効な防止策です。

ダニ類による皮膚炎、アレルギー性疾患など健康上の問題は、気密性の高いコンクリート住宅の急増に伴い表面化して来ました。

カーペット、ソファー、畳のホコリと共にダニ類は生息していますが、湿度70%以下になると激減します。

コンクリート住宅のじゅうたん、畳を木の床に改善し改築前と改築後のダニの数を比較すると改築後はダニが減少している事が認められます。

木の床は湿度が一定で、掃除機での吸引がしやすく、ダニが潜りこめにくい生殖場所が無くなり、また木には精油の一種にダニ繁殖抑制成分が含まれていることなどが、ダニ類減少の理由と考えられます。

表面結露を防ぐ木材

冬季、夜間になって住居の窓や壁の外側が冷えるのに伴い内側の温度も低下し、窓や壁の内側に接する薄い空気層の温度が露点になり、窓ガラスや壁に水滴が生じます。これが表面結露です。表面結露は、キッチン、浴室から多量の水蒸気が流入したり、夏季の冷房時にも生じます。

結露は材料の熱伝導や熱容量が関係します。木材が表面結露を起こしにくいのは、アルミニュームやガラスに較べ、これらの値が小さいことがその理由のひとつです。

また木材は吸・放湿性の多孔質で、多量の水分を保有できる細胞の集合体である事が、アルミやガラスとの決定的な相違点です。

そのため、木材には水滴が垂れる様な、表面結露が生じにくいのです。

湿度と居住性

住宅内の湿度変化は、気候、季節、立地、生活様式によって異なります。

また、住宅の構造、開口部の位置や大きさ、換気扇などの生活器具によっても影響を受けます。

これらの条件全てを、内装材料だけで充足する事はきわめて困難です。

しかし炊事の時などなど水蒸気を多量に発生するときは、換気扇を回し窓を開け風を通し、雨天の時は窓を閉め、室内の湿気を適当に調節します。

したがって、重要な事は、住宅の基本的な調湿性能の程度です。無居住、密閉状態において、住宅がどのくらいの湿度調節機能を備えているかです。

この様な観点からも、木材、木質系材料は最適であることが確認できます。

木がつくる住環境 抜粋・参照

以上、3木を詳しく知る【湿度編】でした。

次は4木を詳しく知る【温度・熱編】です。

公開日:
最終更新日:2018/02/12