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6木を詳しく知る【衝撃編】

衝撃に対する木材の性質

ただ歩いているだけでも、足の裏や膝、腰などに衝撃を受けていますが、その程度は材料によって違います。

例えば磁器の茶碗を布団の上に落としても割れませんが、コンクリーとの上に落とすとわれてしまいます。これは、布団とコンクリートでは、衝撃の吸収力が違うからです。衝撃吸収力の違いを材料別に調べて見ました。われやすいガラス玉に砂を詰めて、どのくらいの高さから落下した時に、ガラス玉が割れるかを実験したものです。木材は35~40cmですが、プラスチックでは10~20cm、大理石やコンクリートでは15cmです。木材がコンクリートやプラスチックより衝撃吸収力が有る事が解ります。

木材は衝撃を吸収する

木材がコンクリート等より、なぜ衝撃吸収力が有るのでしょうか。化学的に考えて見ます。木材はパイプ状の細胞の集合体です。物体が衝突すると、先ず表面層の細胞がつぶれ、さらに次の層の細胞がつぶれると言う様に、順次細胞がつぶれていくので、衝突した物体が跳ね返るまでに相当時間がかかります。衝撃力の大きさはこの時間に反比例するので、時間の長い木材は衝撃を吸収するのです。

衝撃を緩和する働き

住宅に使用された木材は、どのようにして衝撃を緩和するのでしょうか。床を例に調べて見ると、「局部変形」と「たわみ変形」が起こり、衝撃を緩和する仕組みになっている事が解ります。

局部変形による緩和

木材の細胞のところでも説明しましたが、衝突した時、その局部にへこみが生じ、これにより衝撃を緩和します。

このへこみが大きい程、衝撃を吸収する事ができます。

たわみ変形による緩和

木材は衝撃を受けると、たわみ変形によって衝撃を緩和し、たわみ変形の大きいほど、衝撃を緩和します。もちろんたわみは材の厚さなどによって差が有ります。たわみの効果は、根太等で床組みしたときにできる働きです。この場合、木材は跳び・はねの衝撃によって、適当にたわみ、そして他の材料にない柔軟な戻りによって、衝撃を和らげてくれます。激しい運動をする場合、一般に局部変形だけでは、衝撃を十分吸収できません。同じ木の床でも使い方によっては、堅すぎる場合も有りますので注意を要します。もちろん軟らかすぎても問題があります。

床の硬さと事故発生率

床の硬さと事故の発生率を調べました。中学校11校の体育館の床を対象とし、各校200人の生徒による1ヶ年の傷害発生率と床の衝撃硬さを表す係数との関係で示しました。傷害発生率は係数30前後で最も少なく、これより硬すぎても、軟らかすぎても傷害は発生しやすくなることが解ります。

バットにみる衝撃の吸収

野球のバットには木製と金属製とが使われていますが、ボールを打った時の衝撃の強さは、バットを握っている手元に伝わります。

スィートスポットにボールが当たった時の衝撃は、木製も金属製も同じですが、外れた時には木製バットの方が、衝撃力の伝わり方が小さい事が解ります。これは木が金属より衝撃を吸収し、打った時の感触が好ましい事を示しています。私達の身の回りには、木材の衝撃緩和効果を活用した製品が沢山あります。農具や工具、大工道具の柄などもその例です。多くの運動用具も同じです。私達は、知らず知らずのうちに、木材の衝撃緩和効果を活用しています。

感覚による木の好換度

目で見たり、手で触っただけでも、物の硬さを感じる事ができます。木材は硬くもなく軟らかくもなく、また感覚的にはやや快適な刺激を与える材料であると評価されます。つまり木材は手で触ったり、目で見た感触では、硬くも軟らかくもなく適度な刺激を与え、快適な感じを与える材料である事が解ります。木材は感覚的な面でも、人の生理的作用にあっているようです。長い年月、木に囲まれて生活してきた人間が「木を好む体質」を持ったのかもしれません。

木材はマルチ機能材料

ひとつの機能だけを見ると、木材以外にも適当な材料が沢山あります。衝撃吸収力から見れば、じゅうたんや畳は優れた材料です。プラスチックや金属など人工的に造られた材料は、ひとつの機能だけで比較すると素晴らしい優等生です。しかし、住宅材料には、色々な機能、時には相反する機能が求められます。例えば、床は人が歩く位ですり減っては困るわけですが、反対にすり減らないような硬い床では、転倒した時に事故の発生率が高いのです。床の機能としては、衝撃吸収のほか、耐摩擦性、強度、耐久性等種々の機能が必要です。これらの機能をバランス良く備えているのが木材で、住宅材料としては、信頼のおけるマルチ機能材料と言えます。

意外に多い衝撃による事故

人は歩いた時、あるいは飛び跳ねた時に、足や膝、腰などに衝撃を受けます。また柱や壁などに衝突したり、床に転倒した時には、激しい衝撃を受けます。ある県の小・中・高等学校などで起こった災害の統計をみて見ました。体育館、理科や図工の授業中の事故が多いのは考えられますが、意外に多いのが廊下や階段での災害です。校舎内で起こった災害の20%が、廊下や階段で発生しています。滑ったりつまずいたりしたのが原因で、骨折や打撲、歯を欠くなどの災害が起こっています。

事故を未然に防ぐ

転倒や転落事故を未然に防ぐには、床や階段は滑りにくい材料にすることが、大切ですが、床や階段、壁等に衝撃を吸収してくれる材料を使うと万一の時に大事に至らないで済みます。こうしたことから、最近、衝撃緩和効果を持つ木材が安全の高い材料として注目されています。学校、保育園、体育施設等で、積極的に木材を採用するところが増えてきています。

木がつくる住環境 抜粋・参照

以上、6木を詳しく知る【衝撃編】でした。

次は7木を詳しく知る【音編】です。

公開日:
最終更新日:2018/02/12