4木を詳しく知る【温度・熱編】
木材は優れた断熱材
断熱材の多くはそれ自体では強度がない為、他の材料に保持されないと形を保てず「自立」できません。
ところが木材は、軽量であって強度があり断熱性も断熱材に近い性能があり、とても優れた材料です。
また住宅材料として、人に快適な環境をもたらす事が、色々なデータで明らかになっています。
床材料の違いによる足の冷え
皮膚の表面温度は、環境によって鋭敏に変化しますが、コンクリートの床は足が冷えると良く言われます。
床に用いる材料で、皮膚温度が大きく違って来ます。
時間の経過にともない、皮膚の温度低下はコンクリートで最も強く、ビニールタイルがこれに次ぎ、木材が最も軽微です。
また足が床に接している時、熱が床にどのくらい流れるか(奪われる)を、調べて見ました。
この結果、冷たく感じる材料は、熱を伝えやすいことが解りました。
木質床とカーペットの熱流量を較べると、接触直後では木質系の方が大きいのですが、少し時間が経つとほとんど変わらない事が解りました。
長時間立って作業する職場では、足の冷えを防ぐ、木の床が最適であると言えるでしょう。
例えば、公園に木と鉄、コンクリートのベンチが有ったとします、座った時にどちらが冷たく感じますか。
要するに木は人から熱を奪わないから温かく感じます、それに対してアルミ、鉄、コンクリートなどは人から熱を奪ってしまうから冷たく感じるのです。
木材の熱的性質
熱の伝えやすさは、熱伝導率で表します。これは熱エネルギーの移動の速さを示しています。
熱伝導率の数値が大きい程、熱エネルギーの移動が速く、熱が伝わりやすい事を意味します。
熱伝導率を比較して見ると、コンクリートは杉の12倍、鉄は杉の483倍も熱を伝えやすい事が解ります。
木材の熱的な性質を利用した使い方のひとつに、なべなどの柄が、鉄やステンレス、アルミなどの金属では、熱が伝わりやすく暑くて困るので、柄は木が使われています。寒い地方では外に面したガラス戸や取っ手などを木にするのも同じ理由からです。
熱を伝えにくい秘密
電子顕微鏡で木材を見ると、パイプ状の細胞の集合体である事が、よくわかります。
このパイプ状の細胞の中には、身近な物質では最も熱を伝えにくい空気が入っているため、木材は熱を伝えにくいのです。
木材が最も多く使われる用途は住宅向けですが、この時に熱を伝えにくい性質が素晴らしい威力を発揮します。
火や熱に耐える性質
一般的に木は燃えやすいと考えられています。
しかし大きい断面を持った木材になると、表面に着火したとしても、表層に炭化層ができ、それが断熱層の役割を果たし、燃焼の進行は遅く成ります。
鉄、アルミニウム、木材が加熱された時の強度の低下は、鉄、アルミニウムは3~5分でほとんど強度がなくなりますが、木材は15分経過しても60%の強度を保っていました。したがって、火災が起きた時でも断面が大きい柱、梁等から出来ている木造の場合、構造体としての強さは鉄骨造よりずっと長時間維持されます。大断面の木材、集成材を使った木造建築物は、避難や消火活動の観点から、鉄骨造より安全性を高く評価されている程です。
外国では火災の時、消防士さんが「木造ですか鉄骨ですか」と聞き、木造ならば中に入るそうですが、鉄骨造では直ぐには入らない事があると聞きます。
燃える事は長所
大きい断面を持った木材は、燃えにくいのですが、小さい断面の木材は良く燃えます。
そこで、木材の燃える欠点を補うため、燃えにくい木材が開発されて、商品化が進んでいます。
しかし、燃える事がいつも欠点であるかというと、必ずしもそうでは無い様です。
最近は燃えないゴミの処理が社会問題化し、わざわざ燃え易い木材を研究して、製品化する時代になってきています。
木がつくる住環境 抜粋・参照
以上、4木を詳しく知る【温度・熱編】でした。
次は5木を詳しく知る【情緒編】です。
公開日:
最終更新日:2018/02/12