群馬から夏型の遮熱高断熱高気密住宅を考える
地球温暖化防止の省エネ住宅ですが?
地球温暖化で、冬は暖かくなり夏は異常に暑くなっています。
そこで今、地球温暖化防止の為に、省エネルギーの高断熱、高気密住宅が多く造られてきています。
高断熱、高気密住宅は北方型住宅なので、熱を閉じ込め冬の暖房を主に考えてきたものです。
湿度の低い北欧や梅雨のない北海道では、多少気温が高くなっても不快になり難いので、太陽熱を沢山入れることや、熱を逃がさない事だけを考えれば良かったでしょう。
でも最近は地球温暖化によって、そうもいっていられなくなってきているようです。
群馬平野部の暑い夏
本州の特に群馬県の比較的涼しい昭和村、川場村、草津町、嬬恋村では冬の暖房が主で、夏の暑さは余り考えなくても良かったかもしれません。
しかし昨今は地球温暖化によって、この地域もそうは言っていられなくなってきているようです。
それ以上に高温多湿の、群馬県前橋市、高崎市、伊勢崎市、太田市、館林市の近年の夏の暑さは半端では有りません。
日中の気温35℃の猛暑日が1ヶ月以上ある年もあり、また40℃近くになる事もしばしば有ります。
それから20年から30年前は、夕立の降った夕方から翌日の朝は20℃~23℃で乾いた北風が吹きました。
夕立の有った次の朝は、窓を開けて冷気を取り込む事が出来たので、エアコンに頼らなくても良い日がありました。
しかし近年は夕立が少なく、朝から27℃~30℃が当り前の様になり、蒸し暑い熱帯夜が多くなっています。
冬日射しを入れる事だけを考えれば、南側に掃き出し窓等を沢山付ければ良いでしょう。
でも冬の夜に熱が逃げる事や、この地域(群馬など関東)では夏に熱が入り過ぎる事も、考えなければなりません。
夏はもちろん冬でも、オーバーヒート住宅になります。
真夏は、家の中に出来る限り熱を入れない様に、冬とは真逆なことを考えなければなりません。
赤外線対策の遮熱部材に遮蔽
また太陽エネルギーの50%は赤外線です。赤外線は熱くないのですが、赤外線(遠赤外線)が当たると物質はエネルギーを得ることで、輻射熱を持ち熱くなります。
冬は歓迎出来る輻射熱も、夏は不快になります。
最近この赤外線(特に近赤外線)が、紫外線(10%)と同じ様に皮膚に良くないと、言われています。
夏はこの赤外線を防ぐ為に、遮熱透湿シート(外部屋根、壁)、遮熱ガラス窓、遮熱瓦、遮熱塗料(屋根、壁に塗装)、遮熱ロールスクリーン等を使います。
遮熱ガラス窓などを付けると、室内の熱が外へ逃げなくもなるので、冬の断熱効率も良くなり一石二鳥と言う事になります。
軒の出(90cm出す)を深くしたり窓上に庇を付けることや、パーゴラによしずを乗せたり、西側に広葉樹を植えたりして、遮蔽することも良い夏対策になります。
最近セイキ販売社製の遮熱ロールスクリーンサングッド(最高遮熱率79%)等という、窓外に付けるおしゃれな商品もでています。
木の利用で湿度対策に通風で省エネ
本州では温度だけではなく、湿度をどうするかが重要な課題になります。この蒸し暑さは、発汗作用の妨げになり不快指数が上がります。
夏、室内の湿度が低ければ気温が30℃近くても、扇風機の風が涼しく感じます。また冬は湿度が有ると暖かく感じる事が出来ます。
私達は夏は湿気を吸湿し、冬には排湿してくれる天然のエアコンディショナーである、木の調湿性能、蓄熱性能を利用します。
木の性能を最大限に発揮させる為に、50%以上室内に露出する事を原則として使用します。
調湿、蓄熱性のある木を沢山使えば、室内温度計測より体感温度が増し、夏はより涼しく、冬はより暖かく感じます。
また湿度が低いと梅雨の時期には、布団が湿っぽくならず、室内のカビ,ダニの繁殖も抑える事ができます。
それと全面を仕切る壁を少なくし風の入口と出口を作り、風通しの良い家を造る様に考えることも重要なことです。(昔の田の字型民家住宅がそうです)
出来るれば、北側に開閉できる天窓等を付け、一階の北窓と天窓を開け高低差を付けると、平行に窓を開けるよりも多くの風が通りぬけます。
ベルックスの天窓には、網戸付の手動タイプや電動タイプの窓があります。
そうすればエアコンがなくても良いか、エアコンの台数(一台か多くて二台)も少なくて済む低燃費の家になります。
最近の暑い群馬県などでは、北欧や北海道の仕組みだけではなく、関東特に群馬県での家造りを考えなければなりません。
そうしないと冬は良くても、夏は不快な建物になってしまいます。
住まい方の工夫
造れば安心ではなく、住まい方も工夫しなければ夏は不快な建物になってしまいます。
暑い日中の高断熱高気密の家は、今まで暮していた家と同じ様な考えをしない様にしましょう。
だから暑いからと、すぐに窓を開けないように心掛けましょう。
それは夏の暑い日中は、暑い熱気と沢山の湿気を、部屋に取り込んでしまう事になるからです。
但し、日中涼しく乾いた北風などが吹いている時は、この比ではありません。
木の床、壁、天井に蓄熱させてしまうと、熱が排出せずエアコンで冷やさないと冷えなく成ります。窓ではなく、換気扇を使いましょう。
最初に言ったように高断熱高気密住宅は、熱をこもらせる家だからです。本州では熱だけでなく湿度も高くなってしまいます。
どうかすると、断熱の悪い家より室内が蓄熱してしまい、暑くなり不快になる事があります。
開けるなら、朝の冷気を取り入れて、暑くなる前に閉める事です。後は扇風機やエアコンを上手に使いましょう。
【ここでエアコンの上手な使い方を説明しましょう。】
エアコンはスイッチを入れる時に電気を使います。
買い物などでスイッチを切って出掛けると壁に蓄熱させてしまい、帰宅後22℃~24℃の温度設定で急に下げようとしてもなかなか下がらず、また温度設定が低いので足元ばかり冷たく不快に感じ、エアコンが嫌いになる方が多い要因のひとつです。
そんな時は28℃~30℃に設定して出かけ、帰宅後に少し温度を下げた方が爽やかに感じられ、身体にも家計にも良いかと思います。
特に最近のエアコンは賢くスイッチを入れたり切ったりせず、温度を上げ下げする方が電気使用量がかさみません。
また木を張った室内は湿度が抑えられるので、29℃、30℃でも扇風機の風が涼しく感じます。
この様に今までとは、違った生活方法に変えて行かないと、不快な住まいになってしまいます。
ここに書いた事は、机上の空論ではありません。
私は大手の住宅メーカーにいる専門家でもなく、学者でもありません。街の小さな工務店の親父です。
私は今日まで、人工森林の循環(植林、伐採)や地球温暖化、省エネを考え高断熱高気密住宅だけを建てて来ました。
そして建てさせて頂いたお客様のお宅に、一年間温湿度計などを置いて頂き調べたデータと、体験されたお客様のお話を聞かせて頂きました。
また、私も25年間高断熱高気密住宅に住んで、いろんな実験やデータを取り、実際に色々体験したことです。
そして皆さんに少しでも知って頂ければと思い、私の経験談として書かせて頂きました。
ただ、これが全て正しいと言っているわけではありませんので、誤解のない様にお願いします。
少しでも、これから住宅を建てられる方の、御参考になれれば幸いと思っております。
最後までご覧頂き、大変ありがとうございました、厚く御礼申し上げます。
もしよろしければ「木を詳しく知る」湿度、熱編等を御覧になって見下さい。
公開日:
最終更新日:2020/09/20