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9木を詳しく知る【すべり・触感覚】

木質系床材のすべり感覚と歩行感

床の歩行感はどの様な性質と関連があるのでしょうか。これまでの研究によると、床材の性質と床の構造(使われ方)に依存し、摩擦係数が関与する事が明らかになっています。歩行者は第一歩ですべりやすい床と感じると、転倒を避けるために、歩幅を狭くし、歩行速度を遅くして、次の歩を運びます。滑りやすいかどうかを触覚と視覚で随時に判断します。床仕上げ材の違いによる感覚評価の試験結果では、38人の試験者が素足(靴下ばき)で床材上を歩き、その歩行感を3段階で評価しました。多少の個人差がありますが、桧やカエデモザイクパーケットの床は、滑ったり、ひっかかったりせず、歩きやすいと評価されています。静摩擦力は静止状態から動き出す時の摩擦力で、動摩擦力はすべっている時の摩擦力です。この摩擦力と動かそうとする物の重さの比が摩擦係数です。この摩擦係数が大きすぎると疲労が増大し、逆に小さすぎるとすべりやすく成ります。また、静摩擦係数と動摩擦係数の差が小さいほど歩きやすく感じます。桧、カエデモザイクパーゲットの摩擦係数は適度に大きく、静摩擦係数と動摩擦係数がほぼ等しい値を示し、歩行感にとって好ましい条件を備えています。

ぬれたときの床のすべり

床材のすべり感覚は、床面の水分状態も影響します。各種床材の水係数を求めて見ると、コルクが一番水による影響を受けにくく、次に針葉樹、広葉樹、合板・新建材縁甲板でPタイルが一番水の影響を受けやすく、転倒の危険ががあります。

床の快適性と安全性

床表面の摩擦(すべり)は歩行感の快適性だけでなく、安全性の観点からも重要な性能です。床材の安全性は床の硬さでも左右されます。軟らかすぎると足元が不安定となってあるきにくく、硬い床では足首や関節に衝撃を受け、長時間の歩行では疲れやすい事が知られています。特に運動時は転倒・衝突等が予想される為、安全性の観点から、床材の硬さが重要な評価基準になります。木材、カーペット、塩ビシート、コンクリートの4種類の床を靴下ばきで歩き、硬さの感覚実験を行った結果、カーペットが一番軟らかく、コンクリートが最も硬く、塩ビシート、木材は同程度で、適度な硬さと軟らかさを与えています。

床構造の違いによる歩行感

床の硬さ軟らかさの感覚評価は、床の表面だけでなく下地材や床構造によって異なります。合板、コンクリートにそれぞれカーペットを敷くと、歩行感が軟らかく成ります。ところが、カーペット敷きでも、合板下地はコンクリート下地よりかなり軟らかく受け取られています。歩き心地も合板下地の方が好まれています。歩行時の硬さ感覚は、表面材の硬さと共に床構造材によるたわみ(局所変形)が複合的に関与します。たわみは床構造(使われ方)でも異なります。合板床の根太間隔と歩行感によっても違います。根太間隔が最も狭い15cmは歩き心地が良く、根太間隔が90cmまで大きく成ると、歩き心地を悪くしています。たわみが大きく成るほど軟らかい床に感じられ、歩行感が悪く成る事もわかります。また、床の振動は歩行感に悪影響を及ぼします。床がたわむとそれをきっかけにして床は振動を始めますが、振動のかなりの部分を歩行者が吸収します。したがって振動の減衰時間が短く、かつ変形量が小さい床が歩きやすく感じられます。根太間隔が狭くたわみの少ない床ほど、感覚的に好まれるのは、振動も深く関与しているからと考えられます。床の歩行感は、床材の摩擦(すべり)、硬さ、たわみやすさなどの材質と、構造によって評価されます。木質系床は木材本来の特性を生かすと、歩行感の優れた材質であり、何より歩行者に好印象をもたれる事が全ての感覚評価で明らかになっています。

木質仕上げ材の感触

建築仕上げ材や家具等は、手や足が長時間接する為、感触も重要な要素になります。木質仕上げ材がどのように感じられるか、触感覚の内で最も基本的な、温冷感、硬軟感、乾湿感、粗滑感を取り上げ調べています。

乾温感

材料に触った場合、表面の平滑度が異なる為に、あるものはさらさら乾いているように感じられ、あるものは湿って感じられたりします。無塗装の木材は乾いていると判断され、塗装された木材は、無塗装の木材に比べると湿った感じを与えます。

温冷感・硬軟感

木材及び木質系材料の温冷感は、建築仕上げ材料全般から見ると、中間かやや温かい材料と言えます。硬軟感も同じ様に、ほぼ中間あるいはやや硬い材料に当たります。

粗滑感

粗滑感は、木材の表面の粗さと切断面のうねりに最も関係します。切断面のうねりは、針葉樹では年輪の凹凸とその間隔、広葉樹では導管径に基ずく凹凸によって異なります。また、表面切削法、塗装の有無によっても、それぞれ固有の粗滑感を与えます。しかし、感覚試験で木質材料はほぼ満足できる粗滑感が認められました。これは私達が木の感覚を好み、また木の感触を生かす技術や手段を長い間に培ってきたからだと言える様です。

体育館床のスポーツ適性

各種スポーツ選手を対象に、体育館の弾力性とすべりについて償還のアンケート調査が行われました。それによると、木造床については、適当な弾力性があり競技しやすい、転倒しても怪我をしにくいと高く評価され、圧倒的に支持されています。これに対して塗床は、肉体的な苦痛が大きい、長時間競技すると非常に疲れるという評価になっています。塗床は体育館床仕上げに採用される方法で、コンクリート床の上にラテックスとコルクを混ぜ合わせたものを塗って有ります。滑りについて調査の結果、木造床が丁度いいとする回答が多い様ですが、滑り具合は清掃の程度、ワックスの種類、温湿度、シューズなどの要因で左右される度合いが大きいと考えられます。また、床とすべりの関係では、滑り過ぎると動きにくく動作が鈍る、滑らな過ぎると足首やひざ、腰に負担がかかるとする使用感が寄せられています。木造床は、スポーツ選手から全体的に高い評価を受けていますが、体育館によっては、滑り過ぎるとの意見もあります。床の構造、塗装などの工夫より、勝者の志向に合った木造床を提供できるよう、努力する事が必要でしょう。

木がつくる住環境抜粋参照

公開日:
最終更新日:2018/02/12