1木を詳しく知る【樹種、使い方編】
木材の種類と使い方に産地と性能
木には様々な樹種があり、使い道があります。
一般的に柱に使用されるものには針葉樹の、桧、杉、が主で、それにひば、栂、欅等と有ります。
梁に多く使われるのは粘りのある松が多いのですが、最近県産材の補助を受ける為に杉を梁に使います。
ただし、杉は松より粘りがないので、2,3割ははりせいを高くして、断面を大きくした方が良いでしょう。
大黒柱などには欅、桧が多く使われます。
輸入材ではアメリカの米松、米栂、米ひば、カナダのウエスタン・レッド・シダー(カナダ杉)、ロシアのエゾ松、唐松、フィンランドのレッドパイン、ホワイトパインなどあります。
土台に使用されるものでは、桧、青森ひば、能登ひば、米ひば、栗、唐松、防腐剤注入の米栂などが有ります。
また最近はコストを抑える為に、木を張り合わせた集成材も土台や柱、梁に使われていますが、強度はあっても、白蟻や腐朽菌に弱い木もあります。
床の間の床柱には、紫檀、黒たん、桑,柿、エンジュや吉野杉の絞り丸太が使われてます。
梁、桁、垂木には油成分のある松材が多く使われてます。
造作材と言われるものには松、桧、杉、桜等で、輸入材では米ひば,スプルス、米栂に南洋材、アフリカ材なども使われています。
またナラ、タモ、トチ、ケヤキなどの広葉樹と言われるものは、テーブルなどの家具用に使われる事が多いです。
有名な木の産地
また木は産地(土譲や標高差でも影響する)や、木の育った年数によって、強度や値段も違ってきます。
桧でも九州の鹿児島、熊本、大分に四国高知、奈良県吉野、長野県木曾(伊勢神宮の20年遷宮に使用)、三重県の尾鷲(おわせ)などが有ります。
杉も、世界遺産でも有名な屋久島の屋久杉、奈良県の吉野杉、秋田県の秋田杉が有名です。
群馬近県では、栃木県日光や近くの八溝材、埼玉県秩父に西川材等があります。
ただ残念なことに、群馬県もそうですが、山林従事者が採算が合わない為に、森林が荒廃しているところが多く有ります。
それなので間伐(間引く)や枝打ち(小木に枝を取って節のない木にする)作業などの手入れのゆきとどかない為、良い製品がでない産地もあるようです。
奈良県の吉野杉や秋田杉,木曾桧、青森ひばは、手入れが良く目が細かく(年輪が細かい)良い物が多く有ります。
木曽桧は強度が有り生き節もきれいです。また吉野杉は絞り丸太が有名で、秋田杉も目が細かく和室の天井板や造作材に多く使われています。
木の精分と性能
青森ひばにはヒノキチオールが多く含まれており、防蟻効果が有ります。890年前に建てられた平泉の中尊寺の金色堂にも使われています。
また青森ひばは、200年以上経ったものしか伐採しないと聞きます。
ちなみに、ヒノキチオールは日本の桧には含まれていません。台湾桧やウエスタン・レッド・シダー(米杉)に含まれています。米ひば類には、類似成分が含まれ同じ効果が有ります。
木には栄養を運ぶ導管があり、その部分を辺材又は白太と呼びます。辺材(白太)はデンプン質などの栄養分が通る為、カビやすく、虫害に合い易くも有り、また腐朽菌などによって腐りやすくも有ります。
腐れや虫害に強い部分は、栄養分がない芯材又は赤味と呼ばれている部分です。
それなので柱や土台等は、辺材で作ったもの(割角とも言う)よりも、芯材(芯持ちと言われる)で作ったものが強度が有るとされています。
柱は、10.5cm角を12.0㎝と14%太く成ると、耐力が64%増加します。
木の優れた性能を誤解していませんか
皆さんは、木の外壁は早く傷むしメンテナンスが大変。それならサイディングの方が長持ちする。
木はねじれたりして狂うので嫌だ。木は燃えやすい。
こんな思いから木を使う事をためらったり、諦めたりしていませんか。木のことを知った上で、適材適所に使えば長持ちして使えます。
例えば外壁には、国産の杉材よりも割高ですが、ウエスタン・レッド・シダー(カナダ杉)等の方が強度はあり長持ちします。
木の精分や性能に書いたように、木には湿気等に強い弱いがあります。特に内部に使う木と外部に使う木を、使い分けなければなりません。
木の性質,素姓を知った上で使わず、間違った使い方をされてしまっている為、誤解を招いている事が多い様です。
例えば外壁材ですが目が粗く白太の多い国産の杉材を使うと、狂ったり腐りやすく長持ちしません。私達は外壁にはウエスタンレッドシダーを使います。
私、木大好き人間は、東京の木場に育ち50数年間木に携わって来た経験を生かし、木の性能を知って適材適所に使っていく事を提案しています。
木は吸排湿機能に蓄熱、吸音性や安らぎを与えてくれる素晴らしい性能を持っています。木は炭化すると酸素の供給が減り、燃える進行が遅くなります。
鉄やアルミは燃えないけれども溶けてしまいます。いざ火災の時には、木製サッシの方が延焼を免れた例があります。
これからは誤解を解いて頂いて、沢山木を使う事をお薦めします。特に健康の為にも内装に使われる事をお薦めします。
木は産地、樹種、年輪などで強さ、値段も違います。
ただ木を使えば良いのではないと言うことが、少しは解って頂けましたでしょうか。
今後は木の湿度、温度、熱、情緒、衝撃、音、視覚、触覚等と、詳しく書いてゆきたいと思っています。興味のある方はひき続きご覧頂ければ幸いです。
また木や住宅に関しての御質問がございましたら、いつでもお尋ね頂ければと思います。お待ちしております。
木の上手な選び方、使い方 参照
以上、1木を詳しく知る【樹種、使い方編】でした。
公開日:
最終更新日:2018/02/12